今年見た映画、演劇

今年は相変わらず映画も見ていたけれど、年の初めに思い立って『PHOTOGRAPH 51』のチケットをとり、その後もちょくちょくお芝居を見に行くようになった。もともとここ数年で戯曲を読むのが好きな自分に気づき、その延長で見に行ったのだけど、これはなかなか大きな転換点だったと思う。映画と比べると公演のかなり前にチケットを確保したり、チケット代もそれなりだったりと、あまり気安く行けるものではないのはそう。でもやはり舞台の上の役者さんの演技をこの目で見れるのはよかった。

見た中で特に好きなものを映画、演劇交えて軽く紹介。

シェイプ・オブ・ウォーター

3月にTOHOシネマズで見た。

題にもある水、そして卵、指といったフェティッシュを帯びた品々、突っ走るファンタジー・ロマンス、そしてバイオレンス、様々なマイノリティたちの団結を描く政治性、面白くなりそうな要素をこれでもかと詰め込んだ最高のエンタメ作品だと思う。

『PHOTOGRAPH 51』

www.umegei.com

4月に梅田芸術劇場での公演を見た。最初に書いたように、これが個人で見に行くのでは初めての演劇体験。

50年代分子生物学における悲劇のヒロイン(?)ロザリンド・フランクリン板谷由夏さんが演じている。が、このロザリンドは、平凡な悲劇のヒロインなんてものじゃなくて、どこまでも峻厳で気高い(やはり悲劇的ではあるが)。女を人並みには扱わない当時の研究環境にあって摩擦は避けられず、苛烈な会話劇になっている。ロザリンドとウィルキンスがシェークスピアの『冬物語』を語り合う場面が、劇中唯一の温かい会話のシーンであり、かつ『冬物語』が物語全体のテーマのバックグラウンドとなっていて、印象に残った。

ブリグズビー・ベア

7月に京都シネマで見ている。レイトショーだったんだけど、観客が自分の連れと、あともう一人しかいなくてちょっと心配になった。

80年代子供向け番組を模した作中作品『ブリグズビー・ベア』だけを見て育った青年を描く青春映画。映画はその『ブリグズビー・ベア』のムービークリップ、主人公ブリグズビー・ベアが仲間のスマイル・シスターズと協力して宿敵サン・スナッチャーを撃退する一場面から始まる。そのまさにVHS的な映像に一瞬で好きになってしまった。

『スカイライト』

www.nntt.jac.go.jp

先日12/27に兵庫県立芸術文化センターの公演を見に行った。

やっぱり結ばれえない男女の会話劇に心惹かれるものがあるのかもしれない。ふっと表出する愛、どうしようもない断絶を前に通り過ぎる愛。