『SnowRunner』オフロードトラックで挑む大自然オープンワールド

『SnowRunner』は過酷な自然環境下で荷物を運ぶオフロードトラックを主役としたドライビングシミュレーションゲーム。私はそもそもこういったジャンルのゲームをあまりやらないどころか、現実でも車の免許を持っておらず、「クラッチ」「ローギア」何っていうところからのスタートだった。しかし、コロナが蔓延した今、自然に触れる機会を代替してくれるものを探して始めたら、すっかり夢中になってしまった。

積み荷を受け取って、指定された場所まで運ぶのが基本的なミッション。その途上で、崖上の狭い道だったり、道が崩落していたり、凍結していたり、とても道とはいえないドロドロの泥沼になっていたり、といった困難が待ち受けている。一般的なドライビングゲームと違い、気持ちよく走ることはほとんど許されない。さらにスポーン地点はごく限られており、チェックポイントもないため、ひとたび横転や、ぬかるみにはまりこんでスタックしてしまうと最初からやり直すほかない。そのため、運転には常に慎重さが求められる。序盤、何度も同じところで横転してしまってまるで先に進めない時、地図上では近くに見えた配達先に向かうのに、泥濘に足をとられて、何十分もかけなくてはならなかった時など、私はこのゲームを投げ出したいと思った。だが、経験によるスキルの向上に加え、ミッションをクリアするにつれて新しい車両やパーツがアンロックされるため、以前苦労した悪路も次第に乗り越えられるようになっていく。

こう書くと少し妙だが、オープンワールドRPGのようだといってもいい。マップはいくつかの地域に分かれてはいるが、一つ一つが広大なオープンワールドになっている。このゲームに敵というのは登場しないが、地形の険しさや泥の深さなどによってレベルデザインが行われており、タスクをこなしてプレイヤーがレベルアップしていくことで、これまで進めなかった場所に進めるようになるのだ。そして、ただ単にマップを探索するのも楽しい。どのマップも自然の描写が美しく、またマップごとの特色にも富んでいる。ミシガンの湖沼、島嶼地帯、雪深いアラスカの港、シベリアの荒涼とした山間の村、DLCマップだがオーロラがきらめく極寒の北極地域もある。自分の足(トラック)でこれらの地を踏破して、移り変わる景色が楽しめる。

f:id:alpicola:20210102175652p:plainf:id:alpicola:20210102175735p:plain
f:id:alpicola:20210102175814p:plainf:id:alpicola:20210102175848p:plain

物理シミュレーションゲームとしての側面もある。深い泥、降り積もった雪、凍り付いた雪、どれも悪路には違いないが、それぞれ別に物理的挙動がモデリングされている。一度走行すると、泥の道は掘り返されてぐちゃぐちゃになったり、雪は踏み固められたりする。ある道が走破できるかどうかは、そうした路面の状況から、エンジンの出力、タイヤの性能、ギアのかけ方、タイヤと路面の接し方、車体と路面の摩擦などなど、かなり多岐にわたる要素が関わっている。さらに運搬タスクや燃料との兼ね合いもあり、どのトラックが最強か、どこを走ればいいか、という問いにシンプルな答えはなく、どの状況で何が有効だったかを走って覚えていくしかない。非常に困難に思えた道が少しルート取りを変えて挑むと、すんなり行けるということはよくある。ごくまれに、Havokの神(物理エンジン)の気まぐれで、不自然な軌道を描いて大きくバウンドすることも。

総じて、新しい、楽しい体験を与えてくれたゲーム。町で見かけるトラックに対しても見る目が変わり、特に8輪以上あるような大型の車体にはどこか畏敬すら覚える。いつの日か自分で運転してみたいと思う時が来るかもしれない。

f:id:alpicola:20201230195503p:plain
一人称視点で見れる車の内装。メーターやミラーは機能している。

1月8日まで40%オフのセールだそうだ。

www.epicgames.com